こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。

今回は子供の矯正治療についてのブログです。

子供の矯正は必要なのか?
時期はいつが良いのか?
どんな器具が良いのか?インビザラインファーストとは?
結局永久歯になった時にまた矯正をしなきゃいけないのではないか?

などの疑問点にお答えする内容にしたいと思います。このブログでは、一番上の「子供の矯正は必要なの?」という内容に関することを記載しています。書き始めると長くなってしまいましたので、他の内容は次以降の記事に記載いたします。ご興味があれば併せてお読みいただければ幸いです。

 

子供の矯正は必要なのか?どのような場合に必要なのか?

当たり前ですが、「必要なお子様と、必要でないお子様がいる。」と言えます。

乳歯の状態が非常に良く、そのまま良好に永久歯に交換していくことがよくあります。歯科医院に定期的にお越しの場合は、その経過を写真撮影などすることで記録し、問題のない状態を追っていきます。そして、永久歯が全て揃う中学生頃に自然に良い歯並びになるのです。

しかし、時々イレギュラーなことが起こります。虫歯で乳歯を抜いたら、永久歯が曲がってしまった。レントゲンを撮ると永久歯が足りなかった。永久歯が大きすぎてちゃんと並びそうにない。など、いろんな原因で、歯並びが悪くなる要素が生じます。そして、それを見逃し対策を怠ると、一本が変なところに出てしまい、その影響で他の歯も位置が正常ではなくなっていくのです。以下に子供の矯正は必要ないと思われる状態を列挙します。

<子供の矯正は必要ないと思われる状態>

乳歯の歯並びで、前歯部にスペースがある。(霊長空隙と発育空隙がある。)

上下の永久前歯(上の前歯4本と、下の前歯4本)が綺麗に並んで、噛んでいる。

レントゲンで歯の位置異常がない。

鼻呼吸ができる。

これらの状態であれば、経過を見て、変なことが起きないことを観察していけば十分でしょう。

呼吸に関しては意外かもしれませんが、歯並びや成長に影響を与えます。口呼吸をしていると歯並びが悪くなりやすいので要注意です。鼻が詰まっているのであれば、耳鼻科を受診して、鼻を治します。それでも口呼吸が治らない場合は、トレーニングを行うことを推奨します。

乳歯が綺麗に並んでおり、発育空隙、霊長空隙がある状態。

乳歯が綺麗に並んでおり、発育空隙、霊長空隙がある状態。

上下前歯計8本が綺麗に並んでいる。上の前歯2本の間にスペースがあるが、自然に閉じてくることが予想される

上下前歯計8本が綺麗に並んでいる。上の前歯2本の間にスペースがあるが、自然に閉じてくることが予想される

 

次は矯正するかしないか迷うグレーゾーンを上げます。

<子供の矯正が必要か否かのグレーゾーン>

乳歯の時の切端咬合や、反対咬合

交差咬合のない、軽度の凸凹(叢生)

骨格的な要素が強い永久歯の反対咬合

乳歯の時に反対咬合でも永久歯の前歯が出てきた時に自然に治ることがあります。また、この時は本格的な装置は使用できないので、当院ではプレオルソを使用しますが、違和感が大きく使えない子もいます。あまり早くやりすぎて、嫌な思いが残って後々治療できなくなるようであれば、この時期は様子を見るのも一手だと考えています。

乳歯の切端咬合の写真。自然治癒するかもしれない。

乳歯の切端咬合の写真。自然治癒するかもしれない。

上下前歯に軽度の叢生があるが交差咬合はない

上下前歯に軽度の叢生があるが交差咬合はない

 

交差咬合とは、上の歯よりも、下の歯が外側(前方)に出ている状態です。前歯全てが交差咬合であれば、反対咬合と言いますが、顎が狭い場合は一本だけや2本だけの交差咬合もよく見られます。交差咬合がなくて、凸凹も軽度であれば、成長に大きな影響はないでしょう。

骨格的な要素が強い場合の反対咬合は要注意です。子供の矯正を行なって一時的に改善しても、思春期成長時に下顎が発達して、また反対咬合になってしまう場合があります。身長は思春期に骨の成長ともに大きく伸びますが、下顎もこの時期に大きく成長し、大人っぽい顔つきになります。幼少期から骨格的な反対咬合の要素がある場合、下顎の伸びが大きくて上の歯を下の歯が追い越してしまうのです。一般的に女性は16歳まで、男性は18歳まで下顎は成長するといわれています。

成長に関して完璧な予想はできませんが、未来を予測する指標はあります。反対咬合に関して、子供の矯正を行うのか、行わないかを判断する指標としてKIX index(キックスインデックス)というものを利用します。横顔のレントゲン写真からKIX indexを計算し、子供の矯正を行うのか、見送るとのかの判断を行うことができます。

KIX indexについて詳しく知りたい方はこちら→https://www.inaortho.com/lecture/60/09-4.html

 

次に子供の矯正をするのが良いと思うケースを列挙します。

<子供の矯正をする価値があると思われる状態>

骨格的な要素が強くない永久歯の反対咬合

交差咬合

著しい叢生(凸凹)

上顎前突(出っ歯)

開咬

上述の通り、骨格的な要素が強い場合の反対咬合は判断に迷いますが、骨格的な要素が強くない場合は子供の矯正が望ましいと思います。歯の位置が悪いだけの場合が多く、治療も難しくありません。下の歯が上の歯よりも前方にあると、上顎の成長を阻害する可能性があるので、早めにロックを解除して、自然な成長ができるように促したいと考えています。

部分的な交差咬合がある場合は、顎が曲がって成長してしまう可能性があります。なぜなら噛み合う際に、交差している歯がぶつからないように、顎を横にずらして噛んでしまう癖がつくことがあるからです。子供の適応能力はすごいので、顎をずらして噛む位置が正常位置だと判断して、それに体が合っていき、結果として顎が曲がるのです。頬杖や寝方(うつ伏せで常に一方向から顎に力がかかっている状態)でも影響が出るという先生もいらっしゃいます。

一旦顎が曲がって成長してしまった場合、成長後にそれを治す場合には手術が必要になることが多いので、子供の頃にその兆候が見えた場合は積極的に治療することをお勧めします。

前歯の交差咬合

前歯の交差咬合

上下前歯に著しい叢生を認める

上下前歯に著しい叢生を認める

上顎前突(出っ歯)も早めに治療したい不正咬合です。出っ歯だと前歯をぶつけて損傷を受けやすいというエビデンスがあります。また、口を閉じにくいため、口呼吸が習慣化して、顔の成長に悪影響を与えたり、風邪をひきやすくなったりといいことがありません。上顎前突を改善することで、機能、見た目、成長に好影響があると考えています。

上顎前突(出っ歯)のため、前歯を損傷しやすい

上顎前突(出っ歯)のため、前歯を損傷しやすい

 

最後に開咬ですが、これは上の前歯、下の前歯が噛み合わない状態です。乳幼児期の癖(嚥下時の舌突出や指しゃぶり)が残っていることで発現しやすいですが、その他の原因でも生じることがあります。癖を治せば開咬も治ることがありますが、開咬を治すことで癖が消えることもあります。形態が先か、機能が先かという話です。矯正治療に抵抗がある場合は、まず癖を取るトレーニングを行い、改善を試みます(機能を改善することで形態の改善を目指す)。しかし、それでも治らない場合は矯正治療を行なって、開咬を改善し、癖を解消するように働きかけます(先に形態を改善し、機能をそれに適応させる)。

開咬の状態

開咬の状態

子供の矯正治療が最大限効果を発揮する時期はそんなに長くありませんので、経過観察やトレーニングだけで時間を使うのは勿体無いと感じることがあります。矯正治療が必要かどうかを判断し、早くもなく、遅くもない適切な時期を判断し、治療介入することは非常に有益です。内容については次回以降のブログに譲りますので、ご興味があればご一読いただければ幸いです。

子供の矯正をインビザラインファーストで行ったケースはこちら→子供の矯正 インビザラインファーストのケース

 

それでは今回はこれくらいにいたします。最後までお読みいただきありがとうございました。

藤沢市にお住まいの方もそうでない方も、お子様の歯並びや矯正治療でお悩みの場合は、藤沢ギフト歯科・矯正歯科までご相談ください。

 

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