こんにちは

藤沢ギフト歯科・矯正歯科の院長の黒木です。

今回はインビザラインで基本の歯並びを治療したケースについての解説です。

基本の歯並びとはなんだ?ということですが、我々が歯並びを見る際には、まず奥歯が1級なのか、2級なのか、はたまた3級なのかを観察します。

簡単にいうと、1級は前後関係良い状態、2級は上の奥歯が下に比べて前方にある状態、3級は下の奥歯が上の奥歯に比べて前方にある状態です。

矯正治療の大家のアングル先生が決めた分類で、上下の6番目の歯(第一大臼歯)の噛み合わせを基準に判断します。

2級と聞けば、下顎が小さいのかな?とか、上の歯が出ているのかな?などと想像し、3級と聞けば、下顎が前方に出ているイメージが出てきます。

 

今回は基本の歯並びということですので、1級の話です。

奥歯が1級で、前後関係が良いからと言って、歯並びに問題がないわけではありません。凸凹があれば1級叢生(そうせい)、前歯が噛んでいなければ1級開咬(かいこう)です。

1級の場合の治し方は、①抜歯をせずに治す、と②上下左右4本の小臼歯を抜いて治す、の2択が基本となります。①は良いとして、なんで②で4本も抜いてしまうの?という疑問が湧きますね。これにはちゃんと理由があって、上下同数を抜歯しないと、1級関係の奥歯が1級ではなくなってしまうからです。

たとえば上だけ抜いたら、上の奥歯が前方に移動して、上下の関係が2級になりますし、下だけ抜いたら逆に3級になってしまうのです。せっかく1級関係にあるのに、それを崩してしまう行為は勿体無いんですね。もちろん仕上がりにも影響してしまいます。

ということで、基本の治療方針は①の非抜歯、②の上下左右4本抜歯となりますが、まれに下顎前歯1本を抜歯するスリーインサイザーや、小臼歯の片側抜歯などもあり得ますので、その点はご留意ください。

さて、こちらのケースは1級叢生、過蓋咬合、左側臼歯の鋏状咬合という状態でした。(若干、右は3級なのですが、計画自体は1級そのものなので悪しからず)

叢生は凸凹があること、過蓋咬合は噛み合わせが深いこと(下の前歯があまり見えない)、鋏状咬合は上下の歯が鋏のようにすれ違っていることです。シザースバイトともいいます。

叢生量(凸凹の量)は大きくないので、非抜歯で治療計画を立てました。なかなか手強かったのは、左側の鋏状咬合ですが、これもなんとか工夫して治療していきます。

最初はクロスエラスティック(上は頬側、下は舌側にボタンをつけてゴムで引っ張る)を行いましたが、改善しませんでした。上下2本だけの鋏状咬合だと、大体これで治るのですが、今回は上下4本が鋏状咬合でしたので、難しかったのだと推察しています。

*この写真は別の症例です

そこで、インプラントアンカーを使用して、力の方向をコントロールしてゴムを使ってもらったところ、無事に改善しました。

1級ケースと捉えて、非抜歯で治療し、奥歯の前後的な位置関係は治療前の1級を保つことができました。

このケースを②のプランで治すのは得策ではありません。上下左右4本を抜歯してしまうと、基本的に噛み合わせが深くなる傾向にあります。そもそもの問題点として過蓋咬合がありますので、噛み合わせを浅くするのがグッド、深くするのはバッドです。シミュレーションを作成した結果、多少のIPR(隣接面削合)で歯が並ぶスペースを十分獲得できましたので、抜歯をする必要もありませんでした。

また、インビザラインの治療中にエラスティック(ゴム)を使ったり、インプラントアンカーを使用することもあります。理想を言えば、マウスピースだけでサクッと治ってくれれば良いのですが、矯正治療は歯を動かすためのベクトルと、その反作用のベクトルをコントロールする治療です。そのため、どうしてもマウスピースだけでは正しい方向へ力を掛けられないときは、いくつかの補助装置が必要になります。理論が間違っているといくらマウスピースを使っても治っていかないのが現実です。理論に従がった治療計画を立てて、それを実行することが重要だと考えています。

 

 

 

 

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