こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。
先週末にインビザラインセミナーアドバンスコースの2回目を受講してきました。

本日は備忘録的に、基本の基である不正咬合の種類と原因についてまとめていこうと思います。

現在口の中に起きている問題だけにとらわれず、なぜそのような状態になってしまったのかを考えるのは、どんな診療でも重要ですからね。たまに自分に言い聞かせる必要があります。

不正咬合には様々な種類がありますが、主なものは以下の6つです。

・叢生(そうせい)
・空隙歯列(くうげきしれつ)
・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
・下顎前突(かがくぜんとつ)
・過蓋咬合(かがいこうごう)
・開咬(かいこう)

一つ一つ解説します。

叢生(そうせい)とはそれぞれの歯が凸凹になっている状態です。歯が並べる場所に対して、それぞれの歯が大きいことが叢生が起きる理由で、大きな歯同士が押しくら饅頭をして、凸凹な状態でなんとか口の中に収まっている状態です。つまり、スペース不足が叢生の原因です。叢生は単独でも出現しますし、その他の不正咬合と絡んでいることも多いので、何が原因でスペース不足が生じているのかの考察は非常に重要です。

・アーチが狭い
・過蓋咬合
・歯が大きい

それぞれ簡単に解説します。

①アーチが狭い
歯の並びを歯列弓(しれつきゅう)と呼びます。歯が並んでいるところを上か下から見ると弓のようにカーブを描いて並んでいるので、この呼称があります。弓は英語でアーチですから、アーチが狭いというのは歯が並んでいる場所が縮こまっているということで、そのためスペース不足が生じます。

②過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合とは噛み合わせが深いことです。これ自体が不正咬合の一つなのですが、具体的には上下の歯を噛み合わせた時に、上の前歯で下の前歯が隠れてしまうような状態です。過蓋咬合だと、下の歯が並べるスペースが減ってしまうので叢生の原因となります。

③歯が大きい
歯の大きさは人それぞれですが、上の真ん中2本の前歯の幅の平均は8.4mmと言われています。9.5mmを超えてくるとかなり大きい印象です。前歯が大きければその他の歯も大きい傾向があるので、スペース不足が生じやすくなります。

 

空隙歯列(くうげきしれつ)とは歯と歯の間に隙間がある状態、いわゆるすきっ歯です。

叢生とは逆の状態(アーチが広く、歯が小さい)の時や、舌癖(ぜつへき)がある場合、また先天性の歯の欠如があると生じやすい不正咬合です。

舌癖とは主に嚥下の際に舌で上下の前歯を強く押してしまう癖です。舌は筋肉の塊ですので、唾や食べ物を飲み込む際に毎回歯を押すと、歯が前方に傾いてしまいます。その結果、歯と歯の間にスペースができてしまうことがあります。

 

上顎前突(じょうがくぜんとつ)はいわゆる出っ歯です。歯だけの問題で上顎前突になっている場合と、骨格的な問題で上顎前突になっていることがあります。

骨格的な場合は上顎が平均よりも大きいということは少なく、平均より下顎が小さいために、上の歯が出てしまっていることの方が多くあります。

下顎が小さい場合は、成長期に下顎を前方に誘導することにより、骨格的な問題を解決できる可能性もあります。

 

 
下顎前突(かがくぜんとつ)はいわゆる受け口で反対咬合とも呼ばれます。これも歯だけの問題で下顎前突になっている場合と骨格的な問題で下顎前突になっている場合があります。

歯だけの問題の場合は比較的治療がしやすく、子供であれば早めに治療した方が良いです。なぜなら、成長期にはまず上顎が成長し、その後下顎が成長するという順番ですので、上顎が成長する時期に反対咬合になっていると、下顎が上顎をロックしてしまい、上顎の成長を阻害する可能性があるからです。

骨格的な問題の場合は、上顎前突と異なり、上顎が小さいパターン、下顎が大きいパターン、どちらも混ざっているパターンがあります。

チンキャップという装置で、下顎の成長を抑制できると考えられていましたが、その効果に関しては医学的根拠は乏しいと言われています。

骨格を含めて改善する場合は成長後に手術療法が採用され、見た目も美しく治療が可能です。また、専用の検査設備を持つ医院で、検査を受けて、口腔外科に紹介されれば矯正治療も手術も保険適応となります。

 

 
過蓋咬合(かがいこうごう)は前述しましたが、上の前歯で下の前歯が隠れてしまうような噛み合わせが深い状態です。重症な場合は下の前歯が上の歯の裏の歯茎に当たってしまっている方もいらっしゃいます。過蓋咬合の原因は上顎前突、噛む力が強くて交換期に奥歯十分出られなかった、奥歯の喪失や過度の磨耗、遺伝的要因などがあります。

噛み合わせが深いことだけを気にして矯正を希望される方はあまりいらっしゃいませんが、その他の不正咬合と絡んで過蓋咬合の治療が必要な場合が多くあります。

 

 
開咬(かいこう)は過蓋咬合とは逆で、噛み合わせが浅すぎて、前歯が噛んでない状態です。原因として、舌癖、前歯が出きっていない、奥歯が出すぎている、骨格的な問題などがあります。

哺乳をしている赤ちゃんは舌を前に突き出しながら嚥下を行うのですが、成長過程で舌の突き出しがなくなり、嚥下の際に舌を上顎に押し付ける正常嚥下を獲得します。しかし、何らかの原因で舌を突き出す動きが残ってしまうと舌癖となります。舌癖があるから、開咬になるのか、開咬だから舌癖が残るのかは難しい問題なのですが、いずれにせよ開咬と舌癖には密接な関係があります。

以上が主な不正咬合とその原因です。参考になれば幸いです。

 

ちなみに私は軽い叢生と上下顎前突でした。

あれ?上下顎前突ってなに?という感じですが、上の歯も下の歯も出ているという状態です。最近ではくちゴボとも言うようですね。

とりあえず、叢生を治そうと思って軽い気持ちでインビザラインを始めようと思ったのですが、セファロ分析という横顔のレントゲン写真を用いた分析を行ったところ、理想値を達成するためには、6mmも上下の前歯を後ろに引く必要があるという結果がでしました。6mmも後ろに引けば、口元が下がり、現状よりはイケメンになれます。

しかし、上下左右4本の歯の抜歯が必須でした。歯を抜かなければ6mmも後ろに下げられません。
軽い叢生を除去するだけなら10ヶ月、歯を抜いた場合は3年・・・。
私の両親、兄弟は理想値よりは口元が出ています。そうです。遺伝です(笑)
もともと、そこまで治すつもりもありませんでしたので、私はイケメンになることを諦めて、叢生だけを治してインビザライン治療を終えました。
今後必要性を強く感じた場合は抜歯をして矯正しようと思います。

各患者さん、悩みや要望は様々です。こちらから、歯並びがこのような状態ですよと指摘して初めて認識される方もいらっしゃいます。

矯正治療にかかわらず、それぞれの方の話をしっかりと聞き、実現が可能か不可能かを十分に考えた上で、ニーズを満たせる治療計画を作れるように努力していきたいと思います。

藤沢にお住いの方もそうでない方も、藤沢ギフト歯科・矯正歯科にお越しください。

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