歯周病の新分類について
こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。
少し前になりますが、歯周病の新分類が2018年6月にアメリカ歯周病学会と、ヨーロッパ歯周病連盟によって発表されました。その前の分類は1999年に発表されたものでしたから、約20年ぶりの改正でした。
分類が変わったからといって、治療が変わるわけではないので、当時はさらっと読んだだけにしていたのですが、たまたま知人とこの分類について話す機会がありましたので、これを機に簡単にまとめておこうと思いました。
大きく変化したのは、「ステージ」と「グレード」の概念を用いて分類したことです。
「ステージ」は歯周病の重症度と複雑度を表しています。どれくらい進行しているのかを示すということです。
どの程度歯肉がダメージを受けているか、歯を支える骨はどれだけ失われているか、などを調べて、Ⅰ〜Ⅳに分けます。
例えば、ステージⅣは、歯周ポケットが6mm以上あり、歯を支える骨が1/3以上吸収していて、歯周病が原因でなくなった歯が5本以上で、噛む機能が低下している場合などの状態を指します。
「グレード」は進行スピードを表します。未来を予測するためのものです。
一定期間でどれだけ歯周病が進行したか、年齢と比較して歯を支える骨の状態はどうなのか、リスク因子を持っているのか、などを指標として、グレードA、B、Cに分けます。
進行スピードを測る直接の方法は、5年前との比較です。簡単に言えば、5年前と比べて2mm以上歯肉が下がっていたら、進行速度は早いと判断され、グレードCに分類されます。
5年で2mmって、すごくゆっくりじゃない??と思った方、あなどってはいけませんよ〜。
2mm歯肉が下がるということは、歯を支える骨が2mmなくなったと考えて問題ありません。5年で2mmですから、10年だと4mmですね。
実は奥歯が骨に埋まっている量は12mm程度です。4mmは1/3に相当します。つまり、グレードC(進行速度が速い)だと10年で歯を支える骨を1/3も失ってしまうのです。骨を1/3失うことはステージⅣに突入したということです。
歯は何十年も使うものです。10年程度で危機に晒してはなりません。
5年前の状態が分からない場合は、現時点での骨の吸収度を年齢で割り算して、進行速度を予測する方法を用います。
例えば50歳の方で、骨の吸収度が25%であれば、25÷50=0.5となり、グレードBです。グレードBには0.25~1.0が当てはまります。
50歳の方で、骨の吸収度が51%であれば、51÷50が1.0を超えますので、グレードCに分類されます。
また、グレード分類にはリスク因子も関わっており、喫煙と糖尿病が挙げられます。
非喫煙者はグレードA、1日10本未満の喫煙者はグレードB、それ以上だとグレードCです。糖尿病も同じように数値で分類されています。
1999年のものでは分類しきれないものがあり、様々な研究が積み重なった結果できたのが2018年の新分類です。
まだまだ、勉強仲間の内でも浸透はしていないのですが、これから当たり前のようにこの分類を用いて話し合う日が来るかもしれません。
今日もかなりマニアックな内容でした(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
藤沢にお住いの方も、そうでない方も、何かお口でお困りごとがありましたら、藤沢ギフト歯科・矯正歯科までご相談ください。