顎関節症治療は変化したのか?
こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。
最近購入した歯科専門の雑誌で、顎関節症のベーシックな治療について取り上げられていたので、じっくり読んでみました。
口腔外科で勤務していた頃に顎関節症に関する教科書(2011年出版)を購入して勉強しましたが、それから10年に近い月日が経っています。
その頃に学んだ知識で、今まで大きな問題なく対応できてきたと思うのですが、いい機会なので、何が変わったのか、変わっていないのか、を考察したいと思います。
日本の顎関節症の分類は大きくは変わっていませんでした。アメリカ口腔顔面痛学会が出している分類もあるのですが、かなり複雑で臨床的ではないイメージでした。正確なのかもしれませんが、一般開業医ではあそこまでの判別は難しいところです。一方、日本の分類はシンプルでとても臨床的です。
Ⅰ型:咀嚼筋痛障害 筋肉痛ですね。
Ⅱ型:顎関節痛障害 顎の関節の捻挫みたいな感じです。
Ⅲa型:復位性顎関節円盤障害 顎の関節の靭帯がずれてしまっていて、口を開いたり閉じたりする際に「コリッ」と音がする状態です。口はちゃんと開きます。
Ⅲb型:非復位性顎関節円盤障害 靭帯に関節が引っかかり、口が開かない状態です。
Ⅳ型:変形性顎関節症 顎の関節が変形してしまっている状態です。
「顎が痛い。」とおっしゃってこられる方は、Ⅰ型であることが多い印象です。「筋肉痛ですよ」と言うと「え?」と言う顔をされますが、筋肉はすぐ触って確認できるので、納得していただけます。そして、大きな病気ではないことが分かり安心していただけます。
さて、治療法は変わったのでしょうか?
全てのタイプに共通ですが、セルフケア指導があります。
・日常の歯の接触をやめる
・硬いものを食べるのを制限する
・大きな口を開けるのを制限する
・筋肉のマッサージやストレッチ
などがありますが、これらは昔と変わっていません。
読んでいて、少し「おっ。」と思ったのは、マッサージ指導です。
Ⅰ型は筋肉痛なので、マッサージをしてもらうのですが、そのやり方が私の知っている方法と若干違いました。
今回の誌面では、筋肉のコリのある部位をコリがほぐれるまで、じーっと持続的に押す、というように書いてありました。長い場合は1分以上押すようです。
私は今まで、3秒押して離して、また3秒押して、というのを繰り返す。と伝えていましたので、新しい発見でした。
マッサージのやり方には流派もありそうなので、これが絶対正しいというものはない気もしますが、一つの方法として良いと思います。私もコメカミ辺りがコッていましたので、数十秒持続的に押していたら、コリがほぐれた感覚がありました。
ぜひコリを感じる方は試してみてください。
さて、他の治療方法はどうでしょうか。ベーシックなものとして、
・マウスピース療法
・薬物療法
がありますが、これらもほとんど変わっていないと思いました。
マウスピース療法は「すべての病態に有効というわけではないので、やみくもに使わないこと。」というニュアンスで、10年前の教科書にも今回の誌面にも書いてあります。
薬物療法に関しては急性期の対応のために使用し、長期の使用は避けること。という内容です。
さて、お気付きの通り、私が調べた範囲内では顎関節症のベーシックな治療に関してはこの10年ではほとんど変化はありませんでした。
ブログ的には変化があった方が面白いのですが、私としては変化がなくてホッとしています。もし、より良い治療方法が分かっていて、それを知らないがために患者さんに提供できずにいたとしたら、申し訳ないですからね。
もちろんより専門的で、細かい部分は常に変化しているのだと思います。最先端で専門性が非常に高い顎関節症の治療は口腔外科の専門医にお任せすべきですので、しっかり連携していきたいと思います。
藤沢にお住いの方も、そうでない方も、顎に違和感があるようでしたら、藤沢ギフト歯科・矯正歯科までご連絡ください。しっかり診察して、必要があれば高次医療機関にご紹介いたします。