子供の歯ぎしり
こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。
先日、子供の歯ぎしりに関するウェビナーを受講したので、内容をまとめます。
実は、子供の歯ぎしりは成人よりも多いのです。大人がストレスで歯ぎしりをするというイメージがあったので、これは私にとっても意外でした。
歯ぎしりは、早ければ、乳歯の前歯が出た時から始める子もいるようです。
日本の2歳〜12歳の約6000人を対象とした歯ぎしりの調査では、平均で3歳半くらいから歯ぎしりを始め、ピークは6歳頃だという結果が出ています。3歳で、だいたい5人に1人が歯ぎしりをしており、6歳では4人に1人程度に増え、その後は減っていきます。
自然に無くなっていくことが多いので、小さい子の歯ぎしりを過度に心配する必要はなく、基本的には経過観察で良いとされています。
とはいえ、非常に重度の歯ぎしりの子供もいるので、問題が生じている場合は治療対象になります。
例えば、
・歯がすり減りすぎて、噛み合わせが不安定になっている
・顎の関節や、筋肉に痛みが出ている
・口が開きにくい
・頭痛や耳鳴りがある
・睡眠障害がある
などの場合です。
治療方法は
・心理的療法
・行動療法
・ナイトガードの装着
です。
それぞれ説明します。
<心理的療法>
ストレスや不安は歯ぎしりの原因となります。新しい兄弟が生まれた時、両親との口論、学校への入学や転校、悪夢、など様々なことで歯ぎしりが誘発されます。
これらのことを予防するのは難しいですよね。
後手にはなってしまいますが、子供がストレスを感じてそうであれば、安心感を与えてあげるように働きかけるのが有効です。
例えば、
・寝る前に絵本を読んであげる
・リラックスできる音楽をかける
・お話をする
などです。
もし、ストレスの原因が明らかにならない場合は、小児科医に相談すると良いようです。小児科の先生は、子供が何にストレスを感じているのかを見つけようとしてくれます。
<行動療法>
良くない行動を辞めるようにすることです。主に起きている時の歯ぎしりへの対応です。
起きている時の歯ぎしりってなに!?
という感じだと思うのですが、歯ぎしりには、睡眠時のものと覚醒時のものがあるのです。
日中の歯ぎしりは、「歯牙接触癖(しがせっしょくへき)」とタッピング(カチカチ歯を鳴らす)です。
歯牙接触癖は、歯を接触させてしまう癖のことです。
実は、歯と歯が触れ合う時間は1日で20分以内と言われています。
食事の時は歯が触れ合いますし、唾を飲み込むときも接触します。
しかし、その他には、歯が接触するシチュエーションはほとんどありません。
意外だと思うのですが、リラックスしている状態だと、歯と歯は1~2mm離れているのです。
逆に、何かのタイミングで、歯と歯が触れ合っていると、顎の周りの筋肉に何らかの緊張が生じます。
これが筋肉痛や、顎の関節の痛みを生じる原因の一つになります。
歯と歯が接触することで、筋肉が活動することを患者さんに認知してもらい、その上で、日常の歯と歯の接触を辞めるように働きかけるのが、行動療法です。
<ナイトガードの装着>
ナイトガードは、睡眠時につけるマウスピースのことです。良く、成人の方の歯ぎしりや、顎関節症の治療に使用しますが、子供にもナイトガードは有効だと講師の方は仰っていました。
「成長を阻害するのではないか?」
という質問がありましたが、ナイトガードの調整や作り変えを行うことで、成長に影響はないと考えているとお答えになっていました。
私自身、今まで子供の患者さんには、成長抑制の可能性があるからナイトガードは使ってはいけないのだろうと思っていましたが、認識を改めました。
積極的に使用するのではなく、様々なことを組み合わせた上で、どうしてもダメならナイトガードという選択肢もありだということです。
今回、子供の歯ぎしりについて、初めてしっかりとした話を聞く機会になりました。
今までは、経過観察するしかないと思っていましたが、問診、観察すべき点や、治療方法の知識が得られましたので、すぐに日々の診療に活かせると感じました。
お子様の歯ぎしりを気にされているお母様、お父様、藤沢にお住いの方もそうでない方も藤沢ギフト歯科にご相談ください。何かお役に立てることがあると思います。