こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。

 

今回は妊娠中の口腔内の変化について書きたいと思います。

妊婦さんは母子手帳をお持ちですが、そこに歯に関することを記載するページがあります。現在の歯の状態や、歯石や歯肉の炎症を記載する項目がありますね。歯科医院に受診される場合は、ぜひ母子手帳をご提示ください。ご希望があれば現在の状態を記録いたします。

そのページで注目していただきたいのが、一番下の*がついている文章です。

「虫歯や歯周病などの病気は妊娠中に悪くなりやすいものです。歯周病は早産等の原因となることがあるので注意し、歯科医師に相談しましょう。」

と少し怖い内容が書いてあります。9年前に追加された文章のようです。研究の結果、いろいろわかってきたんですね。

非常に重要なことなので、なぜ虫歯や歯周病が悪くなりやすいのか、そしてなぜ歯周病が早産等の原因になり得るのかという点を解説いたします。

 

<なぜ虫歯が悪くなるのか>

妊娠すると、ホルモンのバランスが変化し、女性ホルモン(エストロゲン プロゲステロン)の分泌が急上昇します。この結果、本来中性の唾液が酸性に傾き、粘り気を増加させます。そして、唾液の分泌量が減少します。

虫歯は虫歯菌が出す酸によって歯が溶かされて生じる病気です。食事中は口の中で虫歯菌により酸がたくさん作られ、口の中が酸性になるのですが、唾液の作用により食後10分程度で中性に戻ります。

しかし、妊娠中はそもそも口の中が酸性に傾いているので、中性に戻りにくく、虫歯菌が大活躍してしまう環境になっているということです。唾液の分泌量が減っていて、粘性も増しているので、口の中隅々まで、唾液による清掃作用が届かないことも、虫歯菌の活躍に拍車をかけてします。

さらに、つわりによる嘔吐があると、胃酸で口の中がより酸性になってしまいます。また、つわりによって、歯ブラシが十分にできないということもリスクを高める要因です。

→酸が歯を溶かしてしまう「酸蝕症」に関してはこちら酸っぱいものにご用心!?

<なぜ歯周病が悪くなるのか>

これも女性ホルモンが関係しています。プロゲステロンなどが血中に増加することで、歯周病菌の一つであるP.intermedia(ピー インターメディア)が増加すると言われています。妊娠初期には妊婦の約半数に、歯肉の腫れ(妊娠性の歯肉炎)が生じます。また、妊娠中期にはエプーリスと呼ばれる、できものが歯肉に生じることがあります。

いずれも、しっかり歯磨きをすれば改善するのですが、つわりで歯磨きが丁寧にできないことが問題となります。

また、妊娠前から歯周病があると、より悪くなりやすいので、注意が必要です。

<なぜ歯周病が早産の原因になるのか>

もちろん早産の原因は多数ありますが、歯周病もリスク因子の一つだと言われています。歯周病があると、歯茎だけでなく、全身でも炎症性の反応が生じます。その影響は子宮にも波及し、子宮収縮物質の産生を促進し、胎盤の早期剥離と早産を起こしやすくなるのです。

また、重度の歯周病により、歯周病菌が血流を介して胎盤へ移行し、胎児の発育不全や低体重児の原因になる可能性があるとされています。

→より詳しく知りたい方はこちら27P~お読みください。 https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_body.pdf

日本では少子化が問題になっており、2021年の出生数は81万人程度で過去最低を更新することが予想されています。産まれてくるお子様は、ご家庭での宝であると同時に、日本全体で見ても宝です。

歯科医院が貢献できることがありますので、ぜひ、妊娠や出産をお考えの方は、一度受診されてください。

 

それにしても、妊婦歯科検診の補助金が藤沢市にないのは解せないですね。

横浜市や海老名市などには補助金があるようですので、ぜひ藤沢市にも制度を作ってもらいたいと思います。

藤沢市にお住いの方も、そうでない方も、妊娠中の口腔内で心配なことがあれば、藤沢ギフト歯科・矯正歯科までご相談ください。

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