ホワイトニングとコーヒー②
こんにちは。藤沢ギフト歯科・矯正歯科の黒木です。
ホワイトニングとコーヒーの話の続編です。
・ホワイトニングのメカニズム
・ホワイトニング後の歯へのコーヒーの影響に関する論文
・黒木のホワイトニング完了報告
について書いていく予定でした。(過去形?意味深・・・。)
まず、ホワイトニングのメカニズムですが、その前に歯の構造をおさらいしましょう。歯は、中心に神経(歯髄)、それを囲う象牙質、さらに外側のエナメル質という3層構造になっています。
エナメル質は白っぽくて半透明なのですが、象牙質は黄色っぽいので、その色が透けて歯は少し黄色っぽい色に見えます。
エナメル質の厚さや、象牙質の色味には個人差があるため、歯の色にも個人差があります。
何れにせよ、真っ白ではなく、黄色味がかった色が自然な歯の色です。
さてそれでは、以前よりも歯の色が暗くなったと感じるのはどうしてでしょうか?
その理由は、いくつかの要因で歯の色が変わるからです。
代表的な三つの要因を挙げます。
まずは、外因性の着色です。ステインと呼ばれるものです。
紅茶やお茶で茶渋がついたり、コーヒーで色素が沈着したり、タバコでヤニがついたりします。
これらは歯の表面に付着している色素で、茶色っぽく見えます。
ステインはホワイトニングではなく、クリーニングで除去することが可能です。
次にエナメル質の着色や変化です。
エナメル質は92~96%が無機質、1~2%が有機質、3~4%が水分からなる構造体です。このうちの有機質が着色することで、色調の変化が生じると言われています。
また、歯を長年使うことで、エナメル質が薄くなり、内部の象牙質の色がより目立つという変化も生じます。
3つ目は象牙質の色調変化です。
加齢変化として、象牙質の厚みがだんだん増していきます。
厚みが増すことで、色が濃くなるので、歯の色が以前よりも黄色っぽくなります。
もう一つ象牙質の変色の理由があります。
老化の研究で、糖化最終産物(AGEs)というものが注目されていますが、どうやら象牙質にも加齢とともにAGEsは溜まっていくようです。余分な糖が存在すると、タンパク質や脂質が結合して、AGEsになります。AGEsはお肌のシワや、くすみ、動脈硬化、白内障、アルツハイマーなどとも関係している老化物質です。
この反応は発見者の名前を冠してメイラード反応と呼ばれており、物質は褐色になります。つまり着色有機物が形成されるということです。
メイラード反応は非常に身近な化学反応で、火を通して褐色になるのは、だいたいこの反応の結果です。焼肉、カラメル、トースト、ご飯のおこげなどなど。
常温でも、徐々に生じます。例えば、醤油や味噌を長期保管しているとだんだん色が黒ずんできますが、これもメイラード反応です。
象牙質にもこの反応が起きているため、歯が黄ばんでくると言われています。
エナメル質と同様に着色有機物によって色が変化したということですね。
なお、象牙質へのAGEsの蓄積はまだまだ研究段階のようです。
ここまでをまとめると以下です。
さて、歯の構造と着色の理由がわかったところで、ホワイトニングのメカニズムに進むのですが、なんだか、文章が長くなりそうですね・・・。
決めました!
メカニズムまで書いて、論文の紹介と、黒木のホワイトニングの完了報告は次回にします(笑)
なんだか、じらしてるみたいですみません・・・。
実際、まだホワイトニング終わってないんです・・・。
さぁ、気をとりなおしてホワイトニングのメカニズムに進みましょう!
学生時の教科書や、フリーで読める論文、歯科メーカーの説明文、他の医院のHPなどを見て自分なりに調査しました。
その結果、ズバリ、まだわかってないことが多そう!
という結論です!(ドヤ顔)
残念ながらはっきりしないんですよ〜。
その中でもわかったことは記載いたします。
まず、エナメル質に対しては2つの効果があると言われています。
1つ目は着色有機物の分解です。ホワイトニング剤には過酸化物(過酸化水素、過酸化尿素)が含まれており、これが口の中でフリーラジカルを発生させます。フリーラジカルは反応性の高いフリーラジカルが着色有機物に影響し、低分子の着色が少ない物質とすることで、漂白作用を示すのです。
これに関しては、そもそもなんでエナメル質内の有機物が着色するの?っていう疑問があります。何かの成分が浸透するなら、細菌も入っていってしまうのでは?と疑問です。後述するメイラード反応でしょうか?
2つ目はマスキング効果です。過酸化物がエナメル質表層の有機物を分解することで、光の屈折率が変化します。光が象牙質まで届かなくなると、象牙質の色が目立たなくなり、白く見えます。
マスキングとは、表面を覆い、内部を見せないようにすることです。
さて、次に象牙質への作用ですが、これはさらにはっきりしませんでした。
象牙質の漂白作用が「有る」と書いてあるものと、「無い」と書いてあるものの両方が見つかるのです。
どっちなの?という感じです。
大学時代の教科書には「薬剤浸透説」というものが書いてありました。フリーラジカルがエナメル質内を拡散し、象牙質へ到達して、漂白作用を示す説がある、との記載です。
また、ホワイトニング剤がどこまで浸透しているかを調べた実験で、象牙質まで到達していたと報告している論文もありました。
象牙質の漂白作用が有ることを示した資料は見つかりませんでしたが、少なくとも象牙質には到達するようです。
これらのことから、私は、「象牙質の漂白作用は多少ある」と勝手に思うことにしました!
ホワイト二ングをすると、歯がしみるんですよね。
結構しみるのに、「歯の表面にしか作用してないよ」って言われたら嫌じゃないですか!(感情論)
「内部を白くしてるんだ〜」と思えるから頑張れるわけです!(精神論)
しみるという感覚は、象牙質まで刺激が到達しないと生じない感覚です。だから薬剤が象牙質まで達していて、多少の漂白作用を示してもおかしく無いと思います。(個人の意見)
ということで、ホワイトニングのメカニズムを私なりにまとめます。
ホワイトニングにより
エナメル質はフリーラジカルによる着色有機物の分解とマスキング効果で白くなる。
象牙質はフリーラジカルによる着色有機物の分解で少しは白くなると思いたい。
です!
エナメル質の方は恐らく大丈夫だと思いますが、象牙質の方は参考までにしていただければと存じます。
また、分かり次第アップデートいたします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
最終話でまたお会いしましょう!
次は自分のホワイトニングが終わってから書きます。